ビジネス奮闘記

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2015年4月10日金曜日

法務省へのパブリックコメントを提出 ~ 富裕層誘致への長期観光ビザ施行について~

桜の季節はあっというまに東京では終わってしまいましたが、例年にないくらい、外国人観光客の存在を感じたこのごろでした。2月の春節もテレビのニュースになるほど、いよいよ日本は本格的な「観光立国」への戦略を開始したというのを肌で実感するところです。

どこの国も同じかと思いますが、入国への「ビザ」がキーでもあり、このプロセスの緩和により、より多くの方を誘致しやすくなるのは現実です。 日本も段階的にマレーシア、タイ、インドネシアなどなど、東南アジアを中心にすすめてきた政策は明らかに観光客増加に貢献しており、かつ、これらの国の人々にもより日本が近い国になったと思います。

これから2020年のオリンピックをみすえて、急ピッチで日本政府は様々な外国人に対する誘致および、おもてなしの国づくり、そして、裏方ともいえる外国人就労などなど、入国管理(ビザ)の面で、改正が大幅に必要となることが予測されます。

これらを反映して、省庁からのパブリックコメントの募集も最近大変活発になってきたと感じています。 もともと日本は「移民国家」ではないがゆえ、その入国管理の枠組みも「一時滞在」を基礎とし、かつ、移民誘致をするようなポリシーにできていない為、その考え方については移民国家の政策を参考にしていくことが有益と感じています。 少なくとも滞在することに対し、期間のみならず、その人に付与されるBenefitなども考慮している点は移民国家の大きな特徴といえます。

イミグレーションロー実務研究会を通じて、日本の入国管理法をよりよい国にしていくために、時代に合うような法律への提言を目的に海外の移民法を学ぶという非常に真摯な行政書士の皆様に多く出会い、長く外国移民法に触れている私の立場としては少しでも、オーストラリアやニュージーランドで実践している状況やそのインパクトなど、将来の日本にも十分参考になるような点が多々あるため、良い点をぜひ日本に取り入れていけるような提案ができればと切に願います。

そんな中、法務省からパブリックコメントの募集がありました。
今回は「観光立国」をめざすべく、富裕層を対象として1年間(長期)の観光ビザの新設を検討するにあたっての意見募集となり、以下のような方に1年間の観光ビザを認可するという提案です。

対象となる申請者の要件は
・18歳以上であること
・短期滞在の際に査証免除となっている国籍
・預貯金が3000万円以上
・医療保険の加入をすること

大いにオセアニアの実践を活用できる点が多いと思い、さっそく実務経験から主に以下の意見を提出させていただきました。

1.申請の目的や期間、ビザ期限について
審査は「目的」や「期間」によって審査されるべきであり、その内容によってビザ期限も決定するのが望ましいと考える。(3か月か1年か、ということではなく・・・)
「観光ビザ」「投資ビザ」「退職者ビザ」の区別をつくるべき

2.資産3000万円以上について
このビザは「観光促進」であり「投資家ビザ」ではないため、この線引きを明確にすべき。かつ、観光目的のために3000万円という金額は不要と感じ、もっと多くの方に「観光」を「歓迎」するような要件でなければ実際このビザを利用することは困難

3.国籍限定について
パイロットとして、はじめに免除国からスタートするのは賛成だが、このビザは「観光」誘致目的のため、広範囲の国籍に奨励することがのぞましい

4.保険加入について
基本日本の入管法ではこれら、健康診断や保険に関する要件が今まで存在しなかったという認識であるが、この点は非常に重要なポイントと感じる。ただし、観光目的であり、保険なしでもサポートできるような一定資産を確認できればあれば、高齢者に限ってこれらを義務付けたりしてもよいかと感じる。オーストラリアは高齢者(75歳以上)の渡航に際し、これらの要件が必要となる

5.外国人の滞在施設について
これはビザとは異なるが、すでに政府の提案にも記載があるものの、日本の宿泊施設として「気軽に利用できるキッチン付のレジデンス」がほとんど存在しないことが致命的。海外の長期滞在はこれらの施設ありきの点が現実であるため、高級レジデンスタイプのみならず、欧米にあるようなモーテルなどを参考にこれらの施設建設などは急務と感じる。


何よりも大きな証明として、オーストラリア・ニュージーランドは先鋭的な「観光立国」であり、様々な政策面において、観光誘致ということを長年にわたり実践してきていることが重要なポイントです。
日本のこの意見募集の背景は「観光促進」をさらに(長期滞在できるだけの資産をもつ)富裕層に広げたい、ということですが、、「投資誘致」ではなく、「観光誘致」という目的をまず、念頭におくのであれば、もっとマスの方を「歓迎」できる内容ではないと、意味がないというのが第一印象でした。 比較的入管法は「資産要件」や「給与水準」を提示することによって、要件をつくることが多いと感じていますが、このビザの目的が「観光」である、ということを理解したうえで、ぜひ他国の移民法も参考にしてほしい次第です。

まだまだ日本はこれらビザの緩和そして、様々なとりくみからもっと観光立国になれるポテンシャルは十分あると思います。



2015年4月9日木曜日

ボッティチェリとルネサンス展 Money and Beauty

4月にはいり、少し落ち着いてきたこの頃、大変久しぶりに美術展に仕事の合間をぬって出かけてきました。先日テレビでも特集していましたが、Bunkamuraで「ボッティチェリとルネサンス展」が先月下旬から開始されて、とても楽しみにしていた展覧会でした。

学生時代に、授業で美術史として触れたのが始めでしたが、私にとって、美術史上最も好きな時代であり、またその奥深さ、そして何よりも図像学の追及などに大変凝った学生時代でした。中世~ルネサンスへの過渡期は歴史的背景ならず、人間らしさが開花した時代でもあり、絵の中に描かれる人間たちはその筋肉の鼓動まで伝わってくるかのように、リアルさは絵画を超える躍動感としてその時代を映し出しているかのような衝撃でした。

音楽を勉強する身として、キリスト教思想の多大なる影響、教会から政治へ、そしてそれらをとりまく権力者たちの芸術への関心や貢献などヨーロッパの歴史は、壮大であり、あらゆる面からの理解や解釈を学ぶことは非常にエキサイティングだった記憶があります。 

今回の展覧会のテーマには「Money and Beauty」という視点も非常に興味深い点でした。メディチ家の台頭=労力を使うことで富を得るのではなく、Moneyという今までにはない手法で莫大な財産を築いた事から、その財を「正当化」するためにも教会(宗教)や芸術への投資を積極的に実施したことで、ルネサンス文化を加速化させた点は、後世への遺産ともいえることと感じます。
そんな時代の中にも、本来つつましく生きる教会の信義にならう生き方から贅沢な風潮を否定的とし、贅沢禁止令をもうけたり、、、しかし、罰金?を支払うことで、その豪華な身なりや行動も正当化したり、と時代の中で、あふれる富の中で、いかに自身たちが忠実に生きているか。。。という点をあらゆる手法で示した時代でもあったようです。

その渦中に生きたボッティチェリの絵画はメディチ家の繁栄とともにどの絵も非常に透き通った、崇高な仕上がりで、多様な聖書物語を描いており、きっとどんな方でも心が落ち着くような感情を抱くのではないかと思います。基本、これらのパトロンや教皇、権力者からの依頼により多くの絵をしあげているわけですが、絶頂の時代に生きた芸術家として、人間の欲をもっとも身近に感じて生きた人でもあったのではないかと思います。人は富を得ると様々な面においてその欲の矛先が変わるものであり、それを良しとするか悪とするか、ある意味紙一重なのかもしれません。

フィレンツェに訪問したのはもうかれこれ学生時代までさかのぼるため、、、だいぶ昔ですが、ヨーロッパももうだいぶ長い間訪問しておらず、芸術からだいぶ遠くなっている危機感も感じるこの頃です。やはりヨーロッパの歴史の深さは時にまた没頭して勉強したいと思うところです。

これらのルネサンス絵画を多く目にふれる機会も最近全くなかったため、シンプルに心洗われた気もしました。

そういえば、来月からは「ミラノ万博」がイタリアで開催となります。今回は日本の食を大々的にPRするようです。

イタリア芸術や文化はやはり自身の中で最も落ち着くため、ふらりと久々にイタリアに訪問したくなりました。。。