NHKでちょうど特集をしていたのだが、終りのほうだけ少し拝見しました。
日本人は国連の職員としてまだまだ大変少ないことは周知のことですが、緒方さんほど世界中に知られている日本人国連職員はいらっしゃらないのではないか、と思う。10年間もUNHCRのトップに在任されたということですが、この10年間は冷戦終了後ということもあり、各国における紛争が数多く勃発し、明らかに冷戦前とは異なり、世界的に難民が大量に発生した期間であり、かつ、内紛による難民発生、そして、その措置に対して数多くの難題に取り組んできたことをあらためて実感しました。
インタビューの中で、メッセージとしておっしゃっていたのは、「多様性を認め、共存していくということ」「人間の安全保障( Human Security ) 」 - 実に重い言葉である。 緒方さんの在任時代は、特に民族紛争が多く勃発した時期でもあり、自分と異なる民族との多様性、そしてともに生きていくことの大切さなどをひたすら訴え続けてきました。 単一民族で生まれ育った弁務官が、先頭に立ち、共存の重要性を身をもってリードしてきている姿は本当に圧巻と感じました。
日本では「難民」という話題はなんとなく、いつも非常に遠く感じます。 しかし、在勤時代に移民政策の中で、最も自身に響いたのは難民に関することであり、日本では住んでいても会う機会はほとんどないような難民の方のお会いして彼らの訴えを聞いたりしたことは非常に重く、また、日本とオーストラリアの難民政策の歴史やスピード感の違いを実に多く感じさせられました。 印象的だったのは、コソボ紛争のときに、即刻オーストラリア政府が一時的にコソボ難民をオーストラリアへ避難させるために「Save Heaven Visa」というものを実施し、帰還できるようになるまで、多くのコソボ難民を受け入れられるような政策をとったことです。 オーストラリア政府は 沈静化したら国へ帰還できるような状況である、と判断したため、このビザは永住できるものではありませんでしたが、それでも、迅速にこれらのビザを施行したことは非常に印象的でした。
各国の利害関係も含め、国連における難民政策の解決への道は途方もない道のりでもあります。
ただ、こうした緒方さんの実践してきた経験から語られるメッセージはどれも考えさせられる内容であり、国際関係における共存の重要性を感じました。
また、今は随分認知度もあがった「模擬国連」について、これは緒方さんが将来の国連職員を目指す学生のために始めたプログラムということも初めてしりました。 若い人たちへの教育にも熱心であり、本当に日本を代表する真の国際派であると思いました。
番組内における長いインタビューのメッセージは心に響きました。