ビジネス奮闘記

皆さまにとってAOM Visa Consultingが身近なサービスになるようにこのブログでは少しやわらかめのトピックスもふまえて発信していきたいと思います。 オーストラリアやニュージーランド関連のほか、ふだんの活動や関心ごと含めてレポートします。 ご意見・ご感想などございましたらお気軽にメールにてお送りください。 AOM Visa Consulting Official Web site は こちらへ

2012年7月28日土曜日

改正入管シンポジウムに参加しました

7月9日に日本の入管法が改正になったことをうけて、行政書士を中心として改正入管シンポジウムが開催されました。 パネリストの皆さんはふだん、行政書士の中でも国際業務に携わっている第一線の方々で、今回の改正についての見解はそれぞれに興味深いものがありました。

入管法は5月に外国人高度人材をうけいれるべく「ポイント制」というものが新しく始まり、その後にこの改正ということで今年は大きくその変化がみられる年でもあります。

日本の現状をみれば、急速に進む人口減、特に労働力となる人口層が今後減少することが明らかなことをふまえて、人口政策の一環としても今後はこれらの入管法も真剣に討議されていく必要があると実感しています。

興味深いポイントはいくつかありましたので列記してみます

<高度人材受入れに関するポイント制について>

・基本的にこのポイント制はハードルが高い。該当する人が非常に限られている+これらに該当する人たちは比較的Expatにあたる人たちが多く、日本には長く滞在するような人が少ない=永住を検討する人も少ない

・ポイント制に該当する人はこの認定をうけてから4年6ヵ月で永住ビザ申請が可能、ということになったが、実質、それまでに蓄積した滞在歴があったとしても、これらが計算されないため、当初必要とされた10年の滞在歴、ということを念頭において滞在してきた人にとって、過去の滞在歴を計算に入れてもらえなければ状況によってはあまり意味がない。

・結局のところ、このポイント制においての最大の魅力は「家事使用人の雇用」が可能になったということ。今までこの家事使用人雇用ができる人は対象がかなり限定されているため、希望していても雇用できない人が多かった。ここの部分ができるようになったことが最大のメリットと感じている人も少なくない=しかし、このタイミングに家事使用人 雇用のための最低賃金が15万円⇒20万円になったことは負担と感じている人も多い。

・経産省は2000人を目標としているが、、いまのところ、、、まだこの10%にも満たない・・・・。


<7月9日の改正について>

・実質この改正は「在留資格」については何も変更がない。 外国人登録カードが廃止になり在留カードになる、など入管法に関与するツールが変更になったという点が大きな変化。

・大半の外国人からの意見としては「わかりにくい」改正 - 実質何がどのように変更になったか、の周知がいまいち不明瞭であり、かつ、市町村など自治体の対応についてもバラバラ。
特に英語による情報が不足している。

・社会にたいするアナウンスが不足。実務者に対して、そして外国人に対しても不明な点が多すぎて、いまだ混乱は継続中。

・・・・・・・・・

最も感じたことはやはり社会への周知の方法かと感じました。実務者である行政書士の方をもっと政府は活用して、より効率的にこれらの新しい改正を社会に浸透させるために、法務省が積極的に、PRそして、プロセスの説明、統一した情報・資料を提供することが非常に重要なのではないか、と感じました。 これはもちろん地方自治体への指導も同じことになります。
ただでさえ、日本の場合は地方自治体によってそのフォームなどもバラバラであり、かつ英語による情報があまりにすくない状況でもあります。

私自身の視点はどうしてもオーストラリアとの比較からになってしまいますが、もっと効率的に、そして合理的な行政のしくみが確立できるのではないか、と感じました。

何はともあれ、これらの目的の背景は日本にもっと高度人材をうけいれるしくみをつくり、経済効果を生んでいけるしくみをつくること。半面、不法滞在等資格のない人たちにたいする統制を整備することで、スリム化する、という方向に進んでいることは理解できます。

まだまだ、改正もはじまったばかりですが、少しずつでも浸透していくことを祈ります。

2012年7月27日金曜日

オーストラリアで医師として研修&就労へ

皆さんに少しでもオセアニアの事情を知って頂きたく、年に4回ニュースレターを発行しています。今は海外で働く人も非常に増えて、様々な形、職業で渡航していますので、体験談ふまえて皆さまに紹介していければと考えています。

オーストラリアでは、「医師」は不足している職業の1つとして考慮されており、海外から医師を多く受け入れています。 一定要件を経て受入れ先がきまった場合は、就労ビザの場合、医師としてのポジションの場合は迅速にそのビザ手配も可能となっています。 また、海外から医師として就労したい人のために以下のサイトも設けられており、どのように受入れ先をみつけられるかなどの詳細の情報が掲載されています。


医師がオーストラリアで勤務することを念頭におくと、研修ビザ(442Occupational Trainee はまた就労ビザ(457Temporary Business が該当します。どちらも受入れ先が決まっていることが必須です。 一般に、医師として勤務する、といっても①臨床 ②研究 とあり、特に臨床をする為には各国で規定された要件を満たさなくてはなりません。今回気付いた点は、オーストラリアはアメリカ等に比較すると、臨床を実施する上でかなりハードルは低く、日本医師免許保持者にとって、臨床の機会はとても大きいと感じました。 

医学となるとアメリカが目的地となることが多いですが、日本の医師資格を活用できるという点においてオーストラリアでも多くのチャンスがあるということです。今回インタビューをしました医師の方は心臓外科医のため、手術経験を積むことが非常に重要なキャリア形成となります。 日本ではもともと症例が他国に比較して非常に少ないという環境から、若い医師が海外で経験を積むことは重要になります。  そのために、日本人医師で、このようにオーストラリアでの経験を積むという選択があるということを多くの方にしっていただくよい機会になればと思います。

また、看護士の方も、オーストラリアでは大変不足している職業の為、研修や勤務するチャンスは十分にあります。
詳しい体験記はホームページにて特集していますのでよろしければご覧ください。

2012年7月26日木曜日

野村證券CEOの辞任

少しオセアニアの話題からは遠ざかりますが、個人的な経験もふまえて金融について。

今日、野村證券CEO 渡部賢一氏の辞任が大きく報道されました。 最近次々と発覚したインサイダー取引についての責任をとって、ということですが、インサイダーに加えて、秋の日本航空再上場に際しても主幹事証券7社を統括する業務から除外されるなど、すでに市場の信頼はいま、急降下している状況をふまえての事のようです。 渡部CEOといえば、2008年のリーマン買収劇にて一躍有名になったCEOでもあります。 リーマンからの世界中の社員8000人を野村は引受け、2008年の9月~10月の1ヵ月にあった多くの出来事、そしてTransitionするまでの半年は不思議な形で記憶として残っています。

今年1月には元リーマンアジアパシフィックCEO も完全に退職したニュースがあり、この時点でも1つの歴史が終わった・・・と感じていましたが、今日の辞任のニュースにあの2008年のキーパーソンがまた去るということで、時は次のステップへと進み始めた、としみじみ感じました。 

一方、今月は欧州においてはLIBOR事件が発覚しましたが、これにはバークレイズが関与していたことが発表され、結局2008年の歴史的事件に登場したリーマン・野村・バークレイズの各企業はそれぞれに、市場からの信頼を失ってしまう実態が時を超えて発覚し、この最近の現状を非常に複雑な心境で傍観している次第です。 金融システムとは・・・社会はこのようにまわっているものなのか、と本当に複雑な世界、と思ってしまいました。

現状としては今もなお、世界的にも金融不安は欧州を中心に深い問題としていまだその出口は暗中模索という状況です。 難しいことはわかりませんが、いまの経済・社会をみつめなおし、よりよい世界を作っていく為に何ができるのであろう、と思う次第です。

あれからもうすでに4年目となる夏の日の想いでした。

2012年7月23日月曜日

海外インターンシップが注目!

23日付の日経新聞に「海外インターンシップの人気高まる」という記事が大きく掲載されました。今、日本の学生にとって、そして、企業にとっても「グローバル経験」をもつことは、将来キャリア形成していく為にも重要なステップであり、日本企業に就職することを検討しても、世界を視野にいれた環境、そしてアジアにおける日本の存在など、外から自分の国を見つめなおす事は就業体験をとおして非常に有益となります。 

企業による海外進出の勢いは「待った」なしのスピードの中、学生の皆さんもこれらの就業体験を通して、少しでも、実践力につながることはもちろん就職活動において大きなAdvantageです。

新興国にどうしてもフォーカスされがちではありますが、オーストラリアの存在も無視できません。
特に、資源業界による伝統的ビジネスはもとより、今は飲料業界、そして、化粧品、サービスなど、日本企業によるM&Aが非常に活発です。 そして、アジアにおけるオーストラリアの位置、意義はアジア諸国における西洋の国としてのビジネスカルチャー、法整備、そして事実、アジア方面へのビジネス進出においては、日本企業は多くオーストラリア法務家のアドバイスをうけていることも現状です。
2011年12月3日 日経新聞より
近隣のアジア諸国の学生にとって最も近い西洋の国として、その、留学先として非常に人気が高く、その数は実は、世界中をみても大学生在籍数に比較しての留学生の割合がダントツに高い(約30%弱)数値であり、プラス、うち60%がアジア諸国からの学生というデータがあります。つまり、すでに、外国人(ほぼアジア人)の大変多い環境が大学コミュニティには存在するということです。 これは、日本からも留学生として渡航する学生たちにも大きな刺激になります。

「海外インターンシップ」と一言でいっても、まだ日本においてはその「インターンシップ」という位置づけがかなり幅広く、1週間でもインターンシップ、とうたうところもあります。しかし、欧米における「インターンシップ」とは、実際、学生たちが就職活動をする以前に実施するものであり、夏休みや長期を費やして、企業における就業体験を真剣に実施しているもので、最低でも1-2カ月は費やします。 弊社で扱う「オーストラリアン・インターンシップ」はこれら、欧米型のインターンシップ=つまりインターンシップもその期間を通じてタスクを与えられ、企業からのフィードバックもある形のものをもっと日本の学生、そして社会人にも実施してほしいと思っております。

なぜオーストラリアでインターンシップ? という点で以下があげられます

1.アジアン・ダイバーシティ
アジアからの留学生が大半であるオーストラリアは、今後、日本が競争としていくアジア環境における経験を積むことができます。

2.欧米との共通の文化的基盤
アジア圏内においてアメリカ・ヨーロッパ同様の文化基盤があります。

3.グローバル英語
多民族国家における英語を身につけることが可能です。

4.ビジネスホスピタリティ
英語のみを学ぶのではなく、ビジネスにおけるコミュニケーション能力を高める事が可 能です。又、ほとんど時差がないため、日本とのビジネスにおいて重要な環境です。

5.安全な環境
低犯罪社会のため、安心してインターンシップに集中できます。

6.観光大国オーストラリア  
「観光立国」になるべく日本は圧倒的な実績のある、オーストラリアの観光業を体感すること、また来日観光客として多くをしめるオーストラリア人を知る上で、将来の観光人材として実務を担う人には現場を知るよい機会となります。

企業からもいくつかヒアリングして、興味深いと思った点は今、日本企業は自社の現地法人へ社員を派遣するのみではなく、全く異なる現地(ローカル)企業において、就業体験することにより、異文化におけるビジネスセンスを磨く、ということに関心が高いそうです。 
このオーストラリアン・インターンシップは学生+社会人両方に対応している為、学生のみにならないインターンシップの活用を検討できると思います。
まだまだ、このプログラムは日本人がとても少ないため、かえって世界中からやってきているインターンの人と交流できる点もまたあらたによい経験になるのではないかと感じています。

何はともあれ、これからの世界をつくっていく若い方たちに日本=アジアの中でキャリアを作っていくことも念頭に新しい世界に飛び出してほしいものですし、そのサポートができれば嬉しいです。

2012年7月9日月曜日

オーストラリア7月の法改正について

6月からすっかり時は経ち、だいぶ前回のブログから離れてしまいました。この6月~7月はオーストラリアは例年大きく法改正が実施される時期、加えて今年はまれにみるほどの大改正でもあったたため、まだまだその内容も模索している点も大きいですが、端的にいえば、さらに「ドライ」な政策になったといえます。 2009年に労働党が与党になって以来、特に労働者を守る方策に大きく転換し、かつ、現在の資源景気も影響し、オーストラリア経済は全般的にはかなり上昇志向です。その中において、さらなる雇用のミスマッチを抑える為に、「不足している職業に移民を」というストラクチャーがさらに明確になりました。 そのため、以下が大きな変化といえます。

1.雇用主がすでに決まっている(スポンサー) 人は永住への道がシンプルに

2.雇用主が特に決まっておらず、自身のスキルのみで永住を希望する人は、移民省の優先順位によって、申請時期がコントロールされる =スキルセレクトの導入

3.ビジネスや投資関連はさらに「国益」を生むビジネスにフォーカスされ、 「イノベーション」を生むべく、大型投資案件に集約される = レストラン経営やコンビニなどの中小規模ビジネスは「投資」という概念からははずされる。

2,3 については労働市場的にも先が明確にみえない部分もあることのため、移民省が「市場の需要にあわせて」その順番をきめていく、という考え方になります。

申請者自身で、申請時期を具体的に選べなくなってしまったことは大きな変革であり、今後、オーストラリアへの永住を検討する人にとっては、少し頭の痛い話でもあります。

これらから言えることは、「皆さん、極力、就業先を決めて(雇用主) 申請して下さい」 という考え方です。 そうなれば、労働市場においてミスマッチが極力減ること、そして、特に地方や過疎地におけるこれらの就業は歓迎されるため、州政府が積極的にその情報提供し、不足している職業情報を掲示することで、移住希望者はここから探していく、という形をとることができます。

ただ、もう1つスキルセレクトのよい点は、仕事先を探している人がこのデータベースに自分の情報を掲載することにより、求人募集している雇用主がここから適当な人を探すことができる、というマッチングの役目も果たしています。 これらのデータベースをうまく活用することで、適材適所、の究極を目指すものになった・・・と分析しています。

ただ、まだこのしくみ自体は政府としても初めての試みのため、まだどのように運営していき、いつのタイミングに自分が申請できるか、ということが非常にグレーです。 申請者も政府も動向をしばらくみていかなければなりません。

もう1つ、顕著な動きは、やはり労働者不足対策としての法整備を迅速にすすめている、という点でしょうか。以前も記述しましたが、資源業界に対する労働迅速不足は非常に重要な課題になっている為、いかにこの雇用確保ができるか、という点において、就労ビザ(457)の特化した業界・プロジェクトに対する措置はますますスピード感をもって進めていくと思います。 しかし、全般的に、とにかく人件費の上昇はめざましく、雇用主が負担する部分も無視できません。ここまで賃金が上昇した先は大丈夫なのか、と少し不安にもなります。 (例:就労ビザはAUD$51,400以上の賃金支払いでなければ発給不可能=ほぼ日本の平均収入にあたります)

個々のビザに関する改正についてはあまりに細かい為、詳細については、ホームページトップに概要をまとめていますので、ご覧いただければと思います。

~~~ このオーストラリア法改正とは別に、日本の在留資格もなんと60年ぶり!という大改正が7月9日に実施されました。 オーストラりアがほぼ3ヵ月ごとなんらかの法改正があるのとはだいぶ時間軸が異なりますが、まだこちらの施行も不安いっぱいな感じです。 かつてよりシンプルになった・・・という認識ではありますが、政策として日本の在留資格制度はどの方向をめざしていくのか、、、ということはいつも少し疑問に思うところです。まだこの日本の制度については、私自身も多く勉強しなければなりません。 今月末に行政書士の方が中心になって、これらの法改正についてのシンポジウムを開催することになりましたので、この機会に勉強できればと思います。