最近、日本企業によるオセアニア進出は目覚ましいですが、その中でも特徴的なのは、Food & Beverage -食品・飲料業界による進出です。2008年頃よりサントリーをはじめ、アサヒ、キリンとその戦略は積極的です。今夜は、ANZCCJにて、キリンホールディングスの戦略担当である、Gerard Adams氏による、オーストラリア&ニュージーランドにおける現状についてのプレゼンテーションが行われました。メディアにてその進出は報道されていますが、実際のビジネスについて直接うかがえるとても興味深い機会でした。
オーストラリアではLionという会社を買収しましたが、この企業は、オーストラリアのビールXXXXをはじめとして、乳製品など多くのブランドを抱える巨大企業になっています。買収後の利益は好調であり、Lion 30%, Kirin 35%のシェアを誇っています。この2社のロゴも似ているのもなかなかの偶然ではありますが、特にLion傘下にある乳製品関連のブランドはこれらの収益を牽引しているようです。
オセアニア両国から日本への農業製品輸出については、オーストリアはうち12%を、ニュージーランドの66%を占めています。 オーストラリアからは主にビーフ、木材チップ、チーズなどの乳製品、 ニュージーランドからは乳製品、フルーツ、ビーフなどになります。
紹介していたケースモデルとして発表していたのは、ワインの分野です。キリンの傘下であるメルシャンとオーストラリアSt.Hallett Tatiara ワイナリーとの連携により新しく開発された「Tatiara」というブランドのワインです。こちらは、メルシャンより、日本人側の嗜好などそのマーケティング分野についての知識をそして、St.Hallett Tatiara側では、この需要に合わせた製品開発、ということで、昨年の3月に初めて日本市場で発売となったそうです。 以後、売上は好調であり、現在日本で発売されているリーズナブルなオーストラリアワイン種類のうち Jacobs Creek, Yellow Tail に追加されたブランドとして、急速にその売上げは伸びているということでした。
短期間にも関わらず、この売上げについては驚きました。 まさにこのM&Aによる成功例なのかと思った次第です。
今後ますます、これらをふまえて最近M&Aしたブラジルも含め、さらなる進出を進めていくようです。
参加していたみなさんは、ほとんどがこれら食品や飲料関係業界の方でしたが、とても興味深くこのレクチャーをきいていました。
今後、これらのケースをモデルに、多くの日本食品業界の企業も進出を検討できるのか、と思った次第です。オセアニアはアジアに比較してどうしても人口が少ない、ということが企業進出を検討するにあたり、悩むところでもあります。ただ、キリンのように、現地に根付いている企業買収をすることにより、循環よいローカルネットワークを構築し、そして日本企業の強みをPRしていくことができれば・・・と思います。今後の発展が楽しみです。
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