このところセミナー参加が多い日々でしたが、今日はグローバル人材育成に関するテーマで、外務省後援で経済産業省主催のものに行ってきました。 このテーマは昨今本当に大変多くの場所で談義されていますが、会場へいってまたびっくり!この400名が満席とのこと。そして真っ黒・・・といいますか、大半が男性であり女性は本当にこういう場は少ないです。これがまさに日本の「カイシャ」そのものを反映していると思いますが、参加者の大半は人事部系かと想定し、席につきました。
経産省副大臣のご挨拶から始まり、スピーカーとして三菱商事 会長 小島様がご自身の経験から様々なケースも紹介しながら語って下さいました。いつも関心するのは、日本政府は本当によく調査・分析し、統計などからの数値もよく把握しています。 しかし、問題はここからで、どのように行動するか。ここが日本人にとって最大の壁です。 「英語は上手じゃなくてもよい」「コミュニケーション能力が重要」という点を強調するのも納得です。
私自身ははじめは日本の企業に就職したものの、その後はずっと外資企業へ身をおいてきた立場として、同じ日本にいながら、あまりにもこの環境や、考え方、そして職場で求められる事など、格差を感じています。どうしてこんな時代になったのか、少なくとも自分が学生のころはもっとみんな好奇心旺盛、海外への意欲、そして何よりインターネットもほぼ発展しておらず、情報収集は紙媒体であった中、何がおきても、という気持ちで飛び出していった人が多かったと思います。
今は、ある意味、情報が簡単に手にはいり、バーチャル上での多くの人と出会う事ができ、なんだか便利すぎる世の中になってしまっています。プラス、社会も私個人からみれば、とても過保護的にも感じてしまうほど、彼らをなんとかしないと・・・・と大人たちが一生懸命あれこれと考え、レールにのせようとしている気がします。時代の流れ、そして今の学生たちは非常に平和な時代を過ごし、豊かな生活をしてきたゆえかもしれませんが、半面、この人たちを扱う大人たち、も要注意か、と感じる次第です。
前置きが長くなりましたが、政府の中できっと最も危機感を感じ、そしてこのしくみや流れを変えていけない、と牽引しているのが経産省なのか、と感じました。今、日本もどんどん新興国へ進出していかなければならない状況下、この環境に対応できる「タフな」若者がいない・・・・・⇒この人たちをどこで探すか⇒ そこで提案されたのがJICAなどで経験した青年海外協力隊帰りの若者や現職中にボランティアとして参加し、タフな環境を経験させ、ビジネスに活用・・・・ということが多くアピールされました。 なるほど・・・これも興味深いしくみであり、今日のレクチャーをきいた人事部の人たちはさっそくJICAからの人材データからよい人材をみつけよう・・・という行動に移るかも、と思いました。 基本、青年海外協力隊はほぼ100%「自分の意思」でその道の選択をしている⇒ 少なくとも自己実現や自己表現の場、チャレンジしたい、という人たちが多いのは確実です。 プラス、新興国における経験はもちろん、豊かな日本にずっといる方よりもはるかにフレキシブルかと想定できます。 今後、このしくみはJICA帰りの人にとっても大変有難いことであり、双方にとってよい相乗効果はうめるかもしれない、と感じました。
経産省からは2つの取り組みとして、①インターンシップについて ②外国人在留資格への「ポイント制」導入について が発表されました。
①インターンシップについて
フランスや韓国での事例として、国内の若者を海外にある各企業の支店などに派遣し、現場でのビジネス経験を学ばせたりする事業が政府後押しで実践されているということです。これらは十分日本の企業にも活かせる点ということ、そしてこれがもし経産省主導であれば、可能性も高いと感じました。これらの国もみなだいたい30歳以下が対象となっていたところは注目すべき点です。
なぜなら、日本には「ワーキングホリデー制度」が今は多くの国と実施しているため、ここの部分をもっと活用できる事は十分検討範囲内だからです。 この点はあとで述べたいと思います。
②外国人在留資格への「ポイント制」導入について
そして、もう1つ経産省からのプレゼンで発表されたことは、「グローバル人材」 を日本人のみならず、外国人から求める、ということ。 実質、はるかに能力や語学力の面で即戦力になることは想定範囲内です。 その枠組みとして、日本に永住できるよう「ポイント制の採用」 を検討している、と発表したことです。 これはまさに、先日イミケンの忘年会で談義になったエリアですが、今日このような場で発表したことについても非常に興味深くききました。
日本にはいまだいきなり「永住」を申請するしくみはありません。 ただ、もう人材不足となったこの日本では、緊急課題としてタイムリーによい人を揃えていく必要があるため、ここに外国人登用も多いに考えられる、ということです。 また、ほかにも家族滞在者に就労権を与えたり、家事手伝い(ヘルパー)の帯同を緩和など、外国人に対しても緩和する方向で検討している、ということが発表されました。
感想と提案:
様々な省庁がこの「グローバル人材」検討中ではありますが、最も経産省がきっと経済界からの危機的叫びもヒアリングしている手前、最も実現にむけて現実的にとらえている、と感じました。
今回紹介のあったケースはただどれもどちらかといえば、「正社員」のような長い期間での人材登用を念頭においたケースであり、もちろん、これは最終的に確立できればベストでありますが、私見を述べるならば、このステージに行く前段階の「研修=インターンシップやOJT」 などによる短期間海外研修者を増やす、 またこれを逆に利用し、各国から留学生など短期期間のインターンシップなどの受入れをする、という双方の人物交流がもっとできるのではないかと思った次第です。
今、日本にはワーキングホリデー制度がオーストラリア・カナダ・ニュージーランドをはじめとしてイギリス、ドイツ、台湾などなど、多くの国と提携があります。 1年間就労することが可能なビザでしかも就労先をビザ要件として必要としない、という点でいかにフレキシブルに活用できるか、もっと企業はここの点を活かせば、真のグローバル人材育成を各国で可能になります。 そのため、少なくとも海外進出先=ワーキングホリデー制度が利用できる国であれば、あとは、社内でどのように活かすことができるか、を検討するのみです。
また、逆の考え方として、今も日本語や日本企業に大変憧れをもつ海外留学生も多いわけで、語学ができる彼らを短期的にでもインターンシップとして受け入れる事により、職場の雰囲気をダイバーシティに変えることや、現場で一緒に働くことで、日本人やマネジャークラスの人にとっても十分刺激剤になると想定されます。 このしくみを作るに当たり、考えられる事は各国にある日本商工会議所と連携し、各国にある日本企業支社などを経由し、インターンを派遣したり、また、逆に海外から受け入れたり、とそんな仕組み作りはできるのではないか、と考える次第です。
ワーキングホリデーの最大の魅力は手続きがとても簡単なことです。企業側にとっても、面倒な受入れ先申請などは全く不要であること、現地でどうにでも派遣先を変えることもできることです。そしてちゃんと就労できますので、報酬を出すことも可能です。
活用できる制度があるにもかかわらず、ほぼ何も利用していない、そんな風にみえるのは非常に残念に感じています。 ワーキングホリデーを利用して、現職中に海外へ派遣、ある程度社内で研修制度を確立し、そして帰国後、それを活かす、こんなストーリーをもっと多くの企業に検討してほしいです。
短期で派遣する、また短期で採用する、のメリットはある意味そのスタッフのPerformance をみるとてもよい期間になる、ということです。もし、この実績が高いものになれば、その後はあらためて、正式に社員にしたり、契約したり・・・という次のステージも検討できる事かと思います。
「グローバル人材育成」と掲げるのであれば、まず、企業ができることは、どこに派遣するか、そしてその国にはどんなビザのしくみがあり、それをあまり負担なくどのくらい活用できるか、などの情報は重要かと思います。
そして、ポイント制については、これはまだまだ議論が必要かと感じています。カナダやイギリスなど他国でも実施しているため、どの制度が最も日本に近いものか、という比較も必要ですが、職業などの「定義」づけや「日本語力」へのランクづけ、など、課題は多いものです。
興味深いセミナーでしたが、これを聞いて納得している、ということではなく、ここからどのように活用し、そして行動していくことができるか、、、ここが最も課題と感じています。
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