久しぶりにふらり本を購入しました。最近ビジネス書コーナーは就職関連も多いですが、グローバル人材を意識しての「生き方」本のようなものも多く、日本は今、大手企業人はそれほど安心していられない、という不安からもビジネスマンは混とんとしている様子がうかがえます。
この著者、神田昌典氏は私自身は存じ上げなかったのですが、どうも世間ではとても有名のようで、彼のキャリアに関心をもちました。もともと外務省出身で、その後海外留学を経てビジネスの世界へ。外交からいっきにビジネスマンへとシフトし、そのキャリアは華麗なるものです。 ふと、政府の仕事をしている=一般的には公務員になるため、基本、大半が保守的な感覚をもっている方が多いがゆえ、ここからの転身は個人的にも親近感をもちました。かれこれ、私を含め古巣のオーストラリア政府出身の起業家も実はちらほらいらっしゃる所は興味深い点です。
今回この本を書いたきっかけはどうも癌になったことが大きな要因のようです。この点はお正月に読んだスティーブジョブスと重なる点が多く、人は死を目前にすると、今までの長い人生から多くの事を凝縮して何か行動に移す、という印象です。今までの経験をもとに、今後10年間についてを分析、とりまく環境の予測やこれからの日本についてなど、非常に興味深い内容でした。元外交官というのもあるのかもしれませんが、ビジネスを考える上でも常に「国益」を考慮するという点は共感するものもあります。
日本は特に大企業文化、というものがゆるぎなく、かつこのビジネスモデルはあるいみ日本会社の典型的モデルともいえます。戦後たくさんの大手企業が台頭し、明治以降の財閥系を含め、企業を系列化することで、その連帯感、安心感を生み、そして終身雇用制という長期的モデルを堅実にしたことはまさに「カイシャ」 カルチャーといえます。 しかし、今おきていることは、グローバル化の波も荒波となり、ものつくりだけでは内需はもう無理な時代となり、海外を視野にいれなければほぼ無理の状況に変化してきていることです。 いま、自動車業界はなんとか頑張っているものの、かつての王道、ソニーやパナソニック、シャープなどなど、製造業は苦境にたたされています。
この本では、これらの時代の波をみつつ、今後活躍していく人たちの中心は40代と説いています人間、人生いまはだいたい日本は80歳位となってきたことを考えるとその半分の40代がもっとも脂にのっているということです。 個人的にも40代は人生最後の挑戦の時期と感じており、この過ごし方によって今後が変わると感じています。また、人生半分きたところで、あとの半分どのように生きていきたいか、を真剣に考えるよい時期とも感じます。
20代、30代という若い時期からこのチャレンジ(例えば起業)をすることもよいですが、多様な経験をひととおりし、なんとなく世の中や社会のしくみが理解できるのはきっと30代後半なのかと思います。
これらの経験をふまえ、その後の半分をどう生きるか。こういう問いかけに、神田氏はなっているのかと思います。 くりかえし 「ライフワークになるものを探す」ということが書かれていましたが、あくまでも金銭的な目先の事のみを考えるのではなく、社会の仕組みの中での存在意義、そして自分自身のやりがい=つまりライフワークになれるか、ここがポイントかと思います。
キャリアアドバイスとして若い人へ指摘していたことは、よい学校、よい就職先にいくのではなく、
1.海外留学
2.ボランティア経験を積む
3.優秀な人材が集まる場所の空気を吸う
・・・という。特に3については共感する。これは、直接関与しないにしても、何を考えているか、どんな行動をするか、などを観察するだけでも非常に勉強になるものです。
~あらためて外交官からここまでダイナミックなキャリアにシフトした経緯や経験はため息ものでしたが、時間を無駄にせず、かつ社会の為に必死に問いかけている雰囲気を感じました。
彼の見据えている日本はけっして悲観的なものではなく、非常に明るい未来です。 日本は独特のカルチャーを持ち合わせ、今後これらを海外ビジネスに活かす事で大いに飛躍できる点はあると同感です。あとは、現場の力を信じ、現地の人とのコミュニケーションを円滑にすることで、需要をつかみ、現地化していく、ということでしょうか。
とても刺激的な本でした。
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